一寸の喪女にも五分の愛嬌を
スッと背を伸ばした姿勢の良さと、キリッと引き締まった眼差しのなかにどこかまだ少年らしさを残す顔立ちは、どんな多くの人の中にいても目についてしまう。
見つめていると思われたくなくて私はわざと足下に視線を落とす。
すぐに成瀬は私の側に小走りで駆け寄り、「申し訳ありません、お待たせいたしました」とビジネスライクな口調でお詫びを告げた。
ゆっくりと視線を持ち上げ、そして私は後悔した。
なぜなら硬い口調とは裏腹に、成瀬はこの上なく嬉しそうな表情を浮かべていたから、思わずドキリと胸が弾んでしまったのだ。
可愛い、なんて思ってしまった。
嬉しい、なんて思ってしまった。
そしてカッと一瞬で体温が上昇したのが自分でもわかったから、激しく後悔してしまう。
(見なきゃよかった……)
知りたくない。
こんな成瀬なんて知りたくないの……。
私は高鳴る鼓動に気づかないふりをして、いつもより三割増しでツンとした言い方をする。
「別に待つのは連絡もらっていたから問題ないわ。さあ、行きましょう。予約しておいたの」
「え、予約までしてくれたんですか?」
「だって金曜日よ? 入れない可能性があるでしょ?」
「手配ご苦労様です」
ニコッと成瀬は微笑み、またその笑顔がやけに無邪気で可愛らしくて私の後悔はさらに募っていく。
「……さ、行くわよ」
視線をフイと流して成瀬の返事を待たずに歩き始めた。
見つめていると思われたくなくて私はわざと足下に視線を落とす。
すぐに成瀬は私の側に小走りで駆け寄り、「申し訳ありません、お待たせいたしました」とビジネスライクな口調でお詫びを告げた。
ゆっくりと視線を持ち上げ、そして私は後悔した。
なぜなら硬い口調とは裏腹に、成瀬はこの上なく嬉しそうな表情を浮かべていたから、思わずドキリと胸が弾んでしまったのだ。
可愛い、なんて思ってしまった。
嬉しい、なんて思ってしまった。
そしてカッと一瞬で体温が上昇したのが自分でもわかったから、激しく後悔してしまう。
(見なきゃよかった……)
知りたくない。
こんな成瀬なんて知りたくないの……。
私は高鳴る鼓動に気づかないふりをして、いつもより三割増しでツンとした言い方をする。
「別に待つのは連絡もらっていたから問題ないわ。さあ、行きましょう。予約しておいたの」
「え、予約までしてくれたんですか?」
「だって金曜日よ? 入れない可能性があるでしょ?」
「手配ご苦労様です」
ニコッと成瀬は微笑み、またその笑顔がやけに無邪気で可愛らしくて私の後悔はさらに募っていく。
「……さ、行くわよ」
視線をフイと流して成瀬の返事を待たずに歩き始めた。