一寸の喪女にも五分の愛嬌を
 こんな時に女子力の高い子なら、「あたしも同じこと思ってた~! あたしたち、気が合うね」なんて笑顔を浮かべれば、男性からも可愛がられるようになるだろうに、私には到底無理なことだった。

 ――こんな私にでも、ちょっとくらい愛嬌があればいいのに……。

 それならば、あの日、私の元を去っていた彼氏が抱いていた辛さに気がついたかもしれない。

 私が負担になってしまったと、手酷く傷つけられることもなかっただろうに……。

 そんなことを考えながら、運ばれてきたデザートを食べ始めた。


 遠慮する成瀬を押しとどめ、ここの会計は私が払った。

「前にすっごい料理とお酒を奢ってもらったから、そのお返しよ」

 そう言うと成瀬は「あれはお礼だったから、奢ったんじゃないですよ」と苦笑いする。

「私たちは人事にいるのよ? 社員の昇給なんかもわかる部署なんだから、成瀬がそんなにガンガン奢れるほど余裕があるなんて思っていないしね。引っ越しもあったし、そんな無駄遣いしている場合じゃないでしょ?」


 こういう言い方だ、私の悪いクセは。


 もっと素直に可愛く言えないのかと、自己嫌悪する。
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