モテ子☆モテ男の恋愛事情。


それなのに。


数分後。

隼人の声とともに、風に乗って聞こえてくる声。

足音が一定のリズムを刻み。

その足音にまざって聞こえる、甘く柔らかな低音ボイス。


あたしは、その声を知っている。


振り返ることなく。

だけど、全神経が公園の入り口のほうへと向けられて。

その声に反応してしまう。


見なくたってわかる。


この声は、絶対に速水翔だ。


足音が近づいてくるにつれて、変な緊張があたしを取り巻く。

何をそんなにソワソワしてるのだろうか。


直接話したのは、昨日の放課後が初めてだった。

それまでは校内で見かけるだけの人。

ある意味有名人だから、人が集まるところではすぐに彼の姿がチラついてしまうのは仕方ないこと。

だって、彼の周りにはいつもたくさんの人で溢れ返っている。

女子だけじゃない、男子だって。

あたしはそれを遠くから眺めてるだけ。


昨日のことだって、彼にとっては些細なことで。

あたしのことだって記憶に残ってるかわからない。

取り巻きの、その他大勢のうちの一人くらいの認識かもしれない。


“またね”なんて、誰にでも言ってるんだ、きっと。


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