モテ子☆モテ男の恋愛事情。
チラッと盗み見した速水くんは、いつもと変わらない感じで隼人と話してて。
ここにあたしがいることなんて、きっと気づいていない。
気づいたところで、別にどうってことなんだろうけど。
あたしだけが、馬鹿みたいに彼のことを意識してる。
別に好きなわけじゃない。
確かにカッコいいとは思うけど。
あたしの理想は速水くんとは正反対で、どちらかといえば秋山くんみたいなタイプのはずで。
ウワサなんて、ほとんど信じていないけど。
誰にでもニコニコ笑顔をふりまく速水翔のことは信用できない。
まるであたしみたいだから。
その笑顔が全部作り物のような気がしてならないから。
それなのに、やっぱり気になる。
隼人と話してるときの速水くんは、いつもみたいな笑顔を貼り付けていなくて。
無表情だったかと思えば、隼人の言葉に少し険しい顔をしたり。
でも次の瞬間、顔をクシャッとさせて笑ってた。
見たことのない彼の姿から、目を逸らすことができなくなってしまう。
集中力も途切れて。
意識の半分以上が隼人たちのほうへと向いているあたしの耳に。
「ゆず!!」
たぶん泰くんのであろう叫ぶような大きな声。
それは、さっきまでパスを回してくれてたときのものとはあきらかに違って。
どこか鬼気迫るものにも聞こえて。
「危ない!!」
その言葉が聞こえてきたときには、目の前が真っ暗になっていた。