モテ子☆モテ男の恋愛事情。
「や、やめっ…」
やめてと騒ぐあたしを押さえつけるように抱きしめて。
「隼人!」
あたしの言葉なんて無視して、嬉しそうな顔してあたしを抱きしめる隼人の姿を。
速水翔は呆然と眺めていた。
あたしのことを心配して近くに駆け寄ってた泰くんも。
あたしと隼人のそんなやり取りを見てどこかホッとした表情をしていて。
他の傍観者たちも、あたしたちのじゃれ合いを見て『また始まったよ』とケラケラと笑うだけで。
誰も助けようとはしてくれない。
これが、いつものあたしたちなんだ。
「…もう、隼人! やめてってば!」
抱きかかえられてしまえば、どんなに手足をバタつかせたところ無意味だけど。
それでも、必死に抵抗する。
ここに集まるバスケ仲間の中で、隼人が一番大きいのだ。
背も体も。
筋トレも欠かさない筋肉質な隼人に、敵うわけはないのはわかっているけれど。
やられっぱなしなんて、面白くない。
ムキになったところで敵わないのなら。
暴れることをやめて、逆に隼人に抱きついて耳元でボソッと一言呟いてみせる。
隼人の苦手な言葉。
それだけで、ほら。
すぐに解放されて。
隼人から逃げる前に、ちゃんとお返しの蹴りを脛に入れる。