モテ子☆モテ男の恋愛事情。
あれこれ考えながら歩いていく。
すぐ側には、神崎ゆずの姿があって。
変に緊張して、身体が不自然な動きになってるかもしれない。
彼女はきっと、俺になんて気がついてなくて。
こんなところで会うなんて、まったく予想だってしてなくて。
俺ばかりが、意識してるのだろう。
彼女のサラサラの髪が、風になびいて。
コート内に点きだした街灯の明かりでキラキラと輝いて見えた。
そのサラサラの髪から甘い香りがするのを知ってる。
昨日、知ってしまったんだ。
彼女の香りを。
身体の柔らかさを。
すぐ近くを通りかかるとき。
恥ずかしさから、少し視線を逸らしたまま歩いていく俺の耳に。
「ゆず!!」
彼女の名前を叫ぶ声。
「危ない!!」
一瞬の出来事だった。
ただ、危険を察知した瞬間に反射的に彼女に駆け寄り引き寄せていたんだ。
自分が盾になって、彼女に向って投げられたボールから守ろうとし必死だった。
彼女を腕の中に隠すように抱きしめて。
向ってくるボールに背を向けた。
痛みに備えてギュッと目を瞑ったところで。
俺の背中にはボールがぶつかることはなかった。
その前に櫻井によってボールは違う方向へと弾かれていたからだ。