二回目の恋の始め方


本当は風邪なんて引いてなかったけれど、三人の様子が最近少しおかしくて行きづらくなった私はベットに俯せになりながら電話の向こうの直美に謝った

「ごめんね...」

「うん...来週、来週は来るよね?」


謝る私に直美が聞いてきたから、出来るだけ明るく来るよーと返事した


そして次の週末、意を決して直美の家に行くと呆気なく元通りの三人がソコに居た


「ごめんねちょっと喧嘩してて」とヘラリ謝り抱き付いて来た直美にそっかと返す


その日以来、前にも増してラブラブな二人を見る事になる



居たたまれなくて苦笑いする私に奏が目隠しする


「まだお子ちゃまなユイにはまだ早い」

お前等そう言うのは二人の時にやれと奏がプリプリ怒ってた


スッカリ元通りの三人とお月見したりして秋の風物詩を堪能した


冬は私の誕生日で奏からはネックレスを貰った


貰えないと返そうとする私に「返されても俺が困るんだけど...それとも俺を困らせたい?」とニヤリ笑いながら言われる


渋々と受け取ると「俺の誕生日は5月18日だから」と言われる

「同じ位高価なの期待しとく...ソレ、300万だから」と冗談を言う奏は子供みたいにニヤリ笑う


奏は気にする私を絆うと冗談を言って頭を乱暴に撫でてくる


「ハイハイ、300万ね!わかりましたよー」と舌を出すと

「冗談だ...お前がくれるなら何だって嬉しい


でも、くれるって言うなら...



ユイの手作りケーキが食いたい」って照れた様に笑うからドキッと胸が高鳴る


不意打ちの様に胸を鳴らす奏が憎らしく、思わず睨み付ける私



その日、直美と太陽には会わなかった



何やら用事が有るらしくて直美の家に着くなり追い返された



太陽と直美からは写真立てを貰った


何枚か貼れる大きな写真立てで私達の幼い頃の写真を押し入れから引っ張り出し写真立てに飾り、残りのスペースには再開した頃から今までの四人の写真を飾った


幼い頃の私達の姿を懐かしく思いソッと写真を撫でる

太陽に泣かされ泣く私と、そんな私を庇う様に立ち塞がる直美。奏が呆れる様に太陽を見つめ、勝ち誇った様に意地悪く笑う太陽の姿


二枚目は奏が私の頭を撫でオロオロとしてる姿に直美が太陽を殴り付けてる姿と少しだけ罪悪感に顔を歪める太陽がチラリ私を見つめる写真だった


奏に慰められてる記憶など無い私は不思議な気持ちでその二枚の写真を眺める


まだ小学生になる前の写真だった


最近の写真は幸せそうに笑う直美と意地悪そうに笑う太陽と少し距離が開いた私と奏の姿

そして動物園に行った時に撮った写真も飾った

猿山をバックに四人で楽しそうにピースをしてる写真

私の一番のお気に入りの写真はド真ん中にドーンと飾る


屈託なく笑う私達四人の写真だった

その写真立ては何時も見える所に飾った


奏から貰ったネックレスは何と無く気恥ずかしくて照れ臭くて、胸がムズムズして暫く着けられなかった


しかしその変わりに奏に貰った黒猫のストラップが私の鞄にぶら下がってる



太陽からは12時ピッタリにおめでとうのメールを貰った




クリスマスは私が遠慮して行かないから二人でデートでもしてきたらって言った

今年はホワイトクリスマスで街はイルミネーションで彩る

二人でロマンチックに過ごしてって笑うも


4人で過ごしたいって直美に言われる


「え、でもクリスマスだよ?太陽と二人で出掛けたり...」

「大丈夫、そう言うの全然気にしないで?...ほら、私達って何時もラブラブでしょ?今更だし...あ、ユイのケーキも食べたいし?勿論作ってるでしょ?」


「あーうん...でもさ...」

「お願いユイ...」

切羽詰まった直美の声に一瞬押し黙る


「もーユイのケーキ食べないと私死んじゃうー」

ケラケラ笑う直美に「もぉ、仕方ないな」と、笑う


やっぱり直美に甘いと言われそうだと考える

ケーキ片手に直美の家に行くと太陽が居た


奏が居なくてキョトンと聞く私


「あれ?奏は?」


「あ、あー奏は今日用事だって...」


ハハハと笑う直美にふーんと返す


何だか凄く不思議


何時も4人で居るのに奏が居ないのが初めてで、私は二人の邪魔をしない為にも此処は出来るだけ早くおいとましようと考える


早く帰ろうと考える私に直美は矢鱈と引き留める


「あーソロソロ帰ろうかな?」
「え、もう?まだ良いじゃん?」
「うーん、でも...私、邪魔じゃん?」

ヘラリ笑い、腕を掴んで来る直美の手をヤンワリ引き剥がし逃げる様に直美の家を飛び出した


家に帰り奏にメリークリスマスとメッセージを送った


『今日大丈夫だった?』って直ぐ返事が返って来たから私は何の事かと考え、『大丈夫!直ぐに帰ったから~今頃ラブラブだよ、あの二人!』と送っといた


返事が少し遅れて返ってきた


素っ気なく『分かった』と一言


受験シーズン真っ只中でラストスパートを掛けた私達は正月は流石に会わなかった


アケオメとだけ三人に送っといた。三人からも同じ様なメールが届く



必死で勉強した為か私達四人は無事に第一志望校に合格した


高校生になった私達は相変わらずでたまに4人で集まるも、前の様に頻繁では無くなってた


直美の家から変わり、4人の高校から中間地点のカラオケやファミレスで会う様になった


新しい環境に慣れるのに結構時間が掛かり、中々馴染めない私だったけれど


それはある日を境にガラリと変わった



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