Another moonlight
「ユキ…大丈夫か?」

アキラがユキの頬を伝う涙を指先で拭うと、ユキはアキラの手を握った。

(えっ、なんだこれ?!寝ぼけてんのか?!)

突然のことにアキラの鼓動が速くなる。

「ちょっ…ユキ…。」

「ずっと好きだったのに…。」

(えっ?!好きだった、って…?!)

ユキが誰を好きなのかとか、もしかしたら自分のことなのかもという考えが頭を巡り、アキラの胸は更に激しく高鳴った。

「行かないでよ……リュウ…。」

(…え……リュウ……?)

ユキの口からリュウトの名前が出ると、アキラの頭は一気に冷えて真っ白になった。

“ずっと好きだった”とユキは確かに言った。

ユキも自分と同じようにリュウトへの気持ちを隠して、友達の顔をして笑っていたのだと思うと、アキラの胸にどうしようもないほどの苛立ちが込み上げた。

(オレはリュウじゃねぇっつーの!間違えんな、バカ!!)

アキラはユキの手を乱暴に振りほどいた。

それに驚いたユキが目を覚まし、事態が飲み込めずキョロキョロしている。

「えっ…あれ…?アキ…?え?なんで私、泣いてんの?!」

「オレで悪かったな。どうせ言うなら、オレじゃなく本人に言え。」

アキラはいつもより低い声で呟いて玄関へと向かう。

「えっ?!ちょっと待ってよアキ!どういう意味?!」

ユキは慌てて起き上がって後を追い、部屋を出て行こうとするアキラの腕を掴んで引き留めた。

「そんなのユキ自身が一番よくわかってんじゃん。」

「…なんのこと?マナの店で飲んでたとこまでは覚えてるんだけど…。」

アキラはうつむいてため息をついた。

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