Another moonlight
「…オマエさ…ホントは昔からずっとリュウが好きなんだろ?」

「え?なんでそれ…?!」

「自分で言ったことも覚えてねぇのかよ。」

どんなに好きでも、ずっとそばにいても、ユキが自分を好きになることなどない。

アキラは自分ばかりが胸を痛めていることが、急に虚しくなった。

大人の男になった今も現実から目をそらして、若かったあの日と同じようにユキとの関係を守ってきた。

だけど本当は、臆病な自分を守りたかっただけなのかも知れない。

(オレもユキも、もうあの頃みたいなガキじゃねぇ…。友達でいいなんてホントは思ってねぇくせに…!こんなバカげたことはもうやめちまえ…!)

アキラは何も言わずうつむいて、ただ強く拳を握りしめている。

ユキはアキラの言葉の意味も、自分が涙を流していた理由もわからず困惑している。

「アキ…?」

ユキがアキラの顔を覗き込んだ瞬間、アキラはユキの体を強く抱きしめ、頭を引き寄せて強引に唇を塞いだ。

「んんっ?!」

ユキはアキラの腕の中で身をよじり、必死で抵抗している。

アキラはユキを逃がさないようにしっかりと抱きしめ、唇をこじ開けて激しく舌を絡めた。

(好きだ…。オレだって…オマエのこと、ずっと好きだった…。)

こんな一方的で強引なキスなど望んでいなかった。

遠い昔に思い描いていたおぼろげな夢の中の自分はいつも、ユキを優しく抱きしめて、甘いキスをして、二人で幸せそうに笑っていた。

(ガキの頃の夢なんか今更思い出したりして…オレ、バカだ…。)

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