オオカミ御曹司に捕獲されました
「あの子は中学の時に学校で『私生児』だって言われて不登校になって、高校は別の学区にある学校に入学したんです。私には何も言いませんでしたが、かなり辛かったと思います」

……なるほどね。

だから、帝和学園に入学したのか。

「そんな事があったんですね。ところで、おばあさんは梨花の父親について何かご存知なんですか?」

数秒の間。

「……さあ」

おばあさんは俺から視線を逸らし、首を傾げる。

目を合わせないって事は、何か知ってるんだろうな。

「江口章一と言う名前に聞き覚えはありませんか?」

俺は江口さんの父親の名前を口にする。

すると、微かにではあるが、おばあさんは表情を変えた。
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