オオカミ御曹司に捕獲されました
カートに乗っちゃえば休めるし、お化けも自分に触れてこないから怖くはない。

そう思ってたのに……。

「廃病院?」

ひび割れた鉄筋コンクリート建物を見て、私は目を丸くした。

「ここのお化け屋敷、演出が結構凝ってるらしいよ」

杉本君が遊園地のパンフを眺めながら言う。

聞いてない。

お化け屋敷なんて適当に暗くて涼しければそれで十分じゃない?

「凝らなくていいのに……」

重い足取りでお化け屋敷の中に入る。

ドアの外からも聞こえていた悲鳴。

効果音だと思っていたがゴクリと息を飲む。

「あれ?ここってカートとかないの?」

「歩いて進むみたいだよ。ほら、こっち」

杉本君が通路に貼られた矢印の方向に向かう。
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