オオカミ御曹司に捕獲されました
カートがないなんて……前途多難な展開。

杉本君に手を引かれながら彼の後をついていくと、突然歯医者で使うドリルの音がして、何かが私の肩に触れた。

「ギャアー!」

私は思い切り叫んで、杉本君に抱きつく。

「何かが触れた~!何?何?」

「大丈夫。上から包帯が落ちてきたんだよ」

何も動じてない杉本君は優しく私の肩を抱く。

包帯?

そう言えば、布みたいな感触だった。

包帯ぐらいでビビるなんて、まだ入ったばっかりなのに無事に出れるの~!

杉本君の腕にしがみつき、周囲を警戒しながら前に進む。

すると、ピアノの音が聞こえてきて……。

これ……ショパンの『幻想即興曲』だ。
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