オオカミ御曹司に捕獲されました
冗談で言ってるのではなく、本気で言ってるのだから手に終えない。

「もういい。俺がやる」

杉本さんにやらせると、店が火事になる危険性もある。

たかが焼肉でそこまで心配しなくてはいけないとは……。

梨花の場合は陰で見守って、いざという時に助けてあげればよかった。

だが、杉本さんは……過保護なくらい面倒を見ないと駄目らしい。

焼いた肉を小皿に乗せ、杉本さんの手前に置く。

「ほら、食べていいぞ」

「……ありがとうございます。ずいぶん手慣れてますのね?」

杉本さんが羨望の眼差しで俺を見る。

「……いや、肉をただ焼くだけだ」

俺は杉本さんの言葉に思わず苦笑した。

「でも、凄く美味しいですわ」

フフっと笑みを溢しながら、杉本さんがカルビを口に運ぶ。

「しっかりご飯も食べた方がいい。明日も仕事だし、体力つけろよ」
< 328 / 343 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop