今夜、あなたの胸で……《完全版》
「悠貴!」



ゆっくりと振り返った悠貴は、とってもやさしく微笑んでいて。



「今まで、ありがとう!」



わたしがそう言うと、さらに笑みを深めて、



「俺もありがとう。彩未といて、すっげー楽しかった。

──じゃあ、またな」



そう言って身を翻して、今度こそ帰っていった。



見えなくなるまでその背中を見送ったあと、とぼとぼとアパートの部屋へ戻ったけれど、ドアを開けることができなくて。


だって、琉生への想いに気づいたけれど、悠貴のこともほんとに大好きだった。


ずっと一緒にいたいとも思っていた。


その気持ちに嘘はなかった。


だから気持ちの切り替えがうまくできなくて。


けれど。
< 23 / 48 >

この作品をシェア

pagetop