今夜、あなたの胸で……《完全版》
「彩未の言う通り、煙草を買いに行ってねーよ。確かに、女……と会ってた」



やっぱりそうなんだ!


琉生の口から聞くと現実味が増して、さらに涙が溢れてくる。



「も……いい。聞きたく、ない」



さらにその先を話そうとしているのを遮るようにそう言って、胸の前で交差されている琉生の腕を解こうとしたけれど、



「まあ聞けって」



と言ってその手を止められる。


その代わりに琉生の方から、抱き締める腕の力を緩めて、わたしの体をくるりと反転させた。


そして目一杯俯いているわたしの顔を覗き込んできた。



「でもな。それは、これのため」



そう言ってわたしの手首を掴んで、そのまま自分の口許に持っていき、指に、ちゅっと口付ける。


意味がわからなくてただその行動を見ていたけれど。



「!」



ふと気付いた。
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