今夜、あなたの胸で……《完全版》
そろそろ帰ってくれるだろうと部屋に戻ったけれど、琉生はいまだにベッドに横になっていて。



「早く帰ってよ」



わたしがそう言うと、肘枕をしながらわたしの方へ視線を寄越して小さく溜め息をついた。



「昨日は俺にしがみついてただろ?」


「……」



確かに昨夜は琉生に抱き締められたことで、琉生への想いを思い出して抱き締め返してしまった。


けれど、あれはただあの状況に流されただけで。


今のわたしは琉生ではなく悠貴のことが好きなんだから、これ以上一緒にはいられない。



「もう、ここには来ないで」


「何で?」


「……彼氏に、誤解されたくない」


「ふーん、彼氏ねぇ。

……彩未はその彼氏のこと、マジで好きなの?」



わたしの表情を探るようにそう言った琉生。
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