あの日ぼくらが信じた物
「父ちゃん、いいから早く開けて見せてよ」


 ぼくは優勝出来なかった妬ましさも有って父を急かした。


「なんだよあきら、自分が勝てなかったからって八つ当たりはやめてくださぁい」


 父の言葉にみっちゃん一家も母もクスクスと、笑いをかみ殺している。

そしてとうとう箱は開けられた。


「なんだ? こりゃ」


 母は当惑顔の父に構わず口上を述べた。


「なんと! 優勝賞品は生のさつま芋5本でぇす! また焼き芋を焼いてくださぁい」


 ぼくらは大爆笑でキャンプファイアーを終えていた。



───────



「あきらくん」


「なに? みっちゃん」


「楽しかったね」


「うん。みっちゃんと一緒だったから余計に」


 優勝を譲ってあげられなかった分、ぼくは何か気の利いた台詞でも言わなきゃと思ってそう答えた。


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