あの日ぼくらが信じた物
「なんだよ父ちゃん! そんな小さいイモじゃ早いの当たり前じゃん! ズッコイよ!」


「言い掛かりはよせよ、あきら! 一番は一番だからなっ」


 大人気オトナゲないウチの大黒柱は子供に勝ちを譲る気なんか、これっぽっちも持ち合わせていないようだった。


「はい、一番早かったのはうちの父ちゃんでした。では、優勝賞品の授与に移りまぁす。

 パーン パーカパーンパーン チャラララランランラーン」


 母は口ずさみながら、綺麗な包装紙で包まれた靴箱程の賞品を持ってきた。


「おめでとうございます」


 ぼくらの拍手と共に授与された賞品を父は恭ウヤウヤしく受け取り、皆にガッツポーズをして見せる。


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