あの日ぼくらが信じた物
「なに言ってんだよ! みっちゃんとの付き合い以上に大切な物がどこに有るって言うんだよ」


 ぼくは済まなそうにしているみっちゃんにどう接していいのか解らず、声を荒げてしまった。


「ごめんなさいあきらくん。

 でも怒らないで?

 私はあきらくんと笑っていたいの」


 完全なる失敗だ。みっちゃんの心を幸せで満たしてあげる事がぼくの役目なのに……。


「ううん、みっちゃん。ぼくの方こそごめん。

 でもみっちゃんの事を一番に考えたいのはぼくなんだ。

 だからみっちゃんは何も引け目に思うことは無いし、思い切り甘えて欲しいんだ」


 ぼくは精一杯心を込めてみっちゃんに思いを告げた。いたらないぼくにはそんなことしか出来なかったから。


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