あの日ぼくらが信じた物
「ありがとう、あきらくん。

 私嬉しい。あきらくんの彼女で良かった!」


 ぼくの思いの丈を受けてからみっちゃんの頬は紅潮し、甘い溜め息を漏らしている。そして彼女は瞳を潤ませてこう言った。


「なんだか急にあきらくんが逞しく見える。凄く素敵になった」


「じゃあこれまでのぼくはひ弱ヨワで魅力の欠片も無かったと?」


 ぼくは意地悪でみっちゃんに返した。そうする事が今までのぼくらのパターンだったから。


「もうっ! 意地が悪いんだからっ。

 素敵なあきらくんからキスして貰いたかったのに、すっかり冷めちゃったわ?」


 しまった! ぼくだってキスしたかったのに……余計なこと言うんじゃなかった。

そんなぼくの失敗顔を見て、みっちゃんはまた悪戯っぽく微笑んだ。


「嘘よ。意地悪のお返し! ねえあきらくん、キスして」


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