あの日ぼくらが信じた物
「久美ちゃんね、私たちの防寒着を揃えてくれたのよ。

 それでアイスランドのお友達にも連絡して、その人が案内してくれるんですって!」


 それはとても有難いとは思うんだけど、ぼくはにやにやして卑屈に頭を下げるしか出来なかった。


「あきらくんが人見知りだってのはみっつんからも聞いてます。

 でもあたしはこんなんだから、気を楽にしてくれていいのよ? アハアハハ」


 川田さんは良く見ると、白くてモチモチした美肌の女の子だった。

身体は細いのに真ん丸の顔が乗っていて、いかにも人の良さそうな三白眼がキョロキョロと小動物のようだ。

 ぼくは、みっちゃんの為にも川田さんとは仲良くならなきゃと思い、精一杯の笑顔を向けたんだ。


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