あの日ぼくらが信じた物
 みっちゃんママは涙を拭いながら家に入って行った。


「胸の内にって……そんな……みっちゃん」


 でもぼくは諦めない。みっちゃんは今も確かに生きて、闘っているんだ。周りの人間がさじを投げてしまったら、彼女が闘う力も半減してしまうに違いない。


「みっちゃんが頑張れるように、ぼくはもっと頑張るよ!」


 そう玄関に投げ掛ける。暫くするとバタバタと靴を履きながら、転げ出るようにみっちゃんがそこから現れた。


「あきらくん、おはよう。ごめんなさい、洋服選びに手間取っちゃって。フフ」


 少し頬を紅潮させたみっちゃんは、具合の悪さを微塵も感じさせることなく微笑んでいる。


「今日はいよいよオーロラが見れるんだね!」


 ぼくは楽しい方向へ話を持って行く。みっちゃんの気持ちを全て、幸せ色に塗り替えたいんだ。


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