あの日ぼくらが信じた物
川田さんの家───────



「ほんとに来たのね! 私、かつがれたかと思った。アハアハ」


 相変わらず川田さんは人の良さそうな顔で笑ってくれている。

あの後、早速ぼくらは石を使ってバンクーバーへ跳んでいた。


「実はね、この石は魔法の石でね……」


 川田さんは「まさかぁ」とか言いながら聞いていたけど、ぼくらの行動を思い起こしてようやく納得したみたいだ。


「それはそうとみっつん。なんとかご希望のあれ、手配出来たわよ?」


「ほんとに? さすが名プロデューサー久美ちゃんね! どうも有り難う」


 川田さんは演劇をやっていて、監督からマネージメントもこなすプロデューサーらしい。

みっちゃんは飛び跳ねながら川田さんに抱き付き、喜びを表している。


「あきらくん、あのね」


 また途端に真面目な顔になり、みっちゃんが向き直った。


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