あの日ぼくらが信じた物
「マズイ。気持ち良過ぎる……あっ、あぅっ」


 ぼくは大事な儀式の前だと言うのに哀れ、呆気なく果ててしまっていた。

シャワールームに飛び散ったそれをお湯で流そうと試したけど、変に固まって余計にこびりついてしまう。


「あきらくんまだぁ? 私、眠たくなって来ちゃったワフッ」


 あくびを噛み殺している様子が窺える。急がなければみっちゃんは眠ってしまうだろう。


「シャンプー、ボディソープ、シェービングクリーム……」


 ぼくはそこに常備してあった泡の出る物全てを振り掛け、そのゴワゴワした白濁物をようやく洗い流した。


「ごめん、みっちゃん。お待たせ!」


 彼女が用意してくれていたバスタオルを腰に回してシャワー室から出る。そのぼくを待っていたのは、こっちに背中を向けたみっちゃんだったんだ。


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