あの日ぼくらが信じた物
「痛いっ!」


 そんなに強く抱いたつもりはなかったから、ぼくはみっちゃんの様子を窺った。

恐らく足が痛んでいるんだ。


「大丈夫かい?」

「薬が切れちゃったみたい」

「それは大変だ。早く家へ帰ろう」


 みっちゃんの身体を拭いて椅子に座らせると、ぼくは急いで部屋を片付けた。

 アノ時下に敷いていて汚れてしまったバスタオルも乱れてしまったベッドも、何とか格好の付くまで綺麗に出来たので、ぼくらは中山さんの待つ花時計迄ジャンプする。


「ええっと……。2人は充分楽しんだのかしら」


 別荘に跳ぶ前にみっちゃんが写した花時計の時刻へ跳び帰ったので、中山さんに取っては僅かな時間しか経過していない。


「おかげさまでゆっくりさせて貰いました。洗濯とかは出来ませんでしたけど……」


< 218 / 236 >

この作品をシェア

pagetop