あの日ぼくらが信じた物
 その時に上がった土煙を木枯しが瞬く間に吹き消すと、辺りはまた元通りの静寂に包まれていた。


「なんかぼくたち、マーガリンに先を越された感じだ」


「わたしたちはまだまだ子供だもの、独りで生きていく事を決めたマーガリンには敵わないわね」


 でも、そう言って木枯らしに肩を竦めるみっちゃんの横顔は、とても5年生には見えない位に大人びて見えた。



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 それからのみっちゃんは周りが驚く程の成長を見せる事になるんだけれど、それはまた先の話。


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