あの日ぼくらが信じた物
 父ちゃんがそのウルフスカウトだった時に、誰にも負ける事が無かったのがテント設営のスピードだった。

当然みっちゃんちよりも早いつもりでそう言ったんだろうけど、向こうは早くも設営を終え、カマドから煙までたなびかせている。


「ち、畜生。鈴木さんめ……」「父ちゃん、言葉が悪いわよ!」


 母からすかさず諌められて、父は首を引っ込めながらおどけて歩いて行った。


「はいはい、こっちもカマドを作りますよ。おらっ、ぼやっと突っ立ってねぇであきらも手伝え!」


 悪い事をしていたわけでもないのに父から怒鳴られているぼくは、とんだトバッチリを被っていた。



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「コーヒーでもどうですか? おっ? 立てカマドですね!」


 みっちゃんパパが湯気の立ったマグカップを3つ持って現れた。


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