心外だな-だって世界はこんなにも-
結局、俺たちは日が暮れるまで二人並んでベンチに座っていた。
傍から見れば、いいムードに溶け込んだカップルに見えたかもしれない。
でも、思い切って近づいてみると、愕然とすること間違いなしだろう。
「聡くん、たこ焼きのお金、払ってよね!」
「はあ? なんでだよ、嫌だよ。」
「だって、あれ私が払ったんだからね? 合計1600円。おまけに聡くんのせいで、食べ損なったし!」
「ばーか! その代わりにスマホ見つけてやっただろ?」
「頼んでない!」
「うわっ! こんなにボロボロになってまで見つけた奴に言うセリフか!? 悪魔か!」
「小悪魔だよ! どう? 可愛い? 好きになった?」
「なるかボケ! ブス! 自分の顔、鏡でよく見てみろよ!」
「かっちーん! 頭に来た! 死ね! もう聡くんなんか馬に蹴られて死んじゃえ!」
「おい、TPO!」
「ふんっ!」
喧嘩するほど仲がいい。そのことは俺たちが一番よく知っている。