心外だな-だって世界はこんなにも-
病棟内には、コンビニがある。ああ、このコンビニ。確か、近くに緑色したトイレがあるんだっけ。
振り返ってみると、曲がり角のところにそれはあって、男子トイレも女子トイレも、多目的用のトイレも全部緑色をしていた。
ここまで、目に優しいとされる緑をふんだんにあしらうか……。
「お、キミは確か……。」
ふとそんな声がして、振り返ると、一人のおじさんが立っていた。
やせ細っていて、重い足取りで点滴台を転がすそのおじさんは、私の顔を見ると、笑顔で、点滴の繋がっている手を軽く挙げて、微笑んだ。
「もしかして……伏見さん……ですか?」
おじさんは頷いた。