彼の瞳に独占されています
「萌ちゃんは魅力的だよ。仕事中の一生懸命な姿も、今日の素の表情も、どれも素敵だと思ってる。今だって、キスも我慢できないくらい、君が欲しいんだから」


熱っぽい瞳で見つめながらそんなふうに言われると、無条件で胸が高鳴ってしまう。

反論の言葉を探すけれど、それが出てくる前に、永瀬さんはさらに話を続ける。


「元カノと同じだって言いたいのかもしれないけど、僕からしたら全然違うよ。男のステータスは誰でも多少気になるものだろうし、本当に僕のそれが目当てだとしたら、今みたいなことは言わないだろ」

「そ、れは……」


何と答えたらいいかわからなくて口ごもってしまう。

はっきり言えば考えが変わっても仕方ないと思ったのに、永瀬さんは私を軽蔑する気はないらしい。本当に優しいな……。

複雑な表情をする私に、彼はこんなことを問い掛ける。


「少しでも、僕を好きになりたいと思ってくれた?」


それは間違いではないから、こくりと小さく頷くと、彼は穏やかな笑みを浮かべる。


「これからでいい。もし可能性があるなら、僕とのことを考えてくれないか?」


私はイエスともノーとも言えず、ただ戸惑ったまま彼を見つめていた。

永瀬さんの気持ちが、これほど強いとは思わなかったもの。私は、どうしたら……。




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