彼の瞳に独占されています
少し冷静さを取り戻し、お互い若干ぬるくなってきたビールに口を付けた。

がやがやとした周りの喧騒が耳に戻ってくる中、ヒートアップしていた私達は、今度は打って変わって黙り込む。

弥生ちゃんはひとつ息を吐き、俯きがちにぽつりぽつりと話し出す。


「キツいこと言ってごめんない。でもあたしは、先輩と……淳一さんには幸せになってもらいたいんです。そうじゃなきゃ、あたしも苦しいんで……」


その言葉、なんだかすごく淳一のことを想っているような……。

そう考えていると、ふいに点と点がひとつの線で結ばれたような気がした。

もしかして、弥生ちゃんはただのファンではなく、本当に淳一のことが好きなんじゃないだろうか。

だとすれば、これまで彼氏を作らなかったことも頷けるし、今も真剣に向き合おうとしない私を怒ってくれたのだと納得できる。


はっとして、それを尋ねようかと口を開きかけたものの、弥生ちゃんはバッグからお財布を取り出している。


「すみません、あたし先に帰りますね。ごめんない……」


テーブルに代金を置きながら申し訳なさそうに言い、頭を下げるとすぐに去っていってしまった。

引き止めることもできず、ひとり残された私は、まだお皿に残っている食材を見るともなく眺めて、深いため息をつく。

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