彼の瞳に独占されています
淳一が電話してくる時って、だいたいどうでもいい用件なのよね。今夜飲みに行かない?とか、オススメの映画ある?とか。

今日もその可能性が高いし、申し訳ないけど無視するか。

そう決めた薄情な私は、しばらくして鳴り止んだスマホを再びテーブルに置いた。……しかし、すぐにまた鳴り始める。

こんなに掛けてくるなんて、結構大事な用事?

腕を組み、難しい顔をして少し悩んだ私は、仕方なく出ることにした。スマホを耳に当てると、聞き慣れた安心感がある声が耳に流れ込んでくる。


『やっと出たか。よかったよ、死んでなくて』

「物騒なこと言うな」


学生時代から変わらない、軽い冗談を言って笑い合うこのひと時が、私は結構好きだ。

さっきまで感じていた気まずさも、少し会話しただけであっさり消えていくから不思議。

とは言え、いつもよりも元気のない調子で話していると、淳一はこんなことを言う。


『なぁ、今から出てこれない?』

「何で」

『ドライブしようぜ』


私は一瞬ぽかんとした。

淳一がドライブに誘ってくるなんて珍しい。というか、初めてじゃないかな?

なぜ突然そんなことをしようと思い立ったのかわからないけど、とりあえず私はそんな爽やかな気分ではないのだ。申し訳ないけど、断ろう。

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