彼の瞳に独占されています
すると、ブラックコーヒーを一口飲んだ永瀬さんは、平静にこんなことを言う。


「僕、ここのケーキたまに買いに来るんだ。姪っ子が好きでね」

「へぇ~、姪っ子さんが!」


姪がいるということも始めて知り、ぱっと顔を上げると、彼はぽりぽりと頭を掻いている。


「っていうのは半分口実で、僕も甘党だからなんだけど」


少し照れ臭そうに笑う彼を見て、私はぷっと吹き出した。

永瀬さんが甘党だというのも初耳だけど、姪っ子のケーキを買うついでに、こっそり自分の分も頼んでいるのかなと思うと、なんだか可愛らしい。


「私もスイーツ大好きです。男の人が甘党だと一緒に食べられるから、嬉しい女子は多いと思いますよ」


緊張が少し解れて、笑顔を見せながら言うと、永瀬さんの微笑みにわずかな影が落ちたように見えた。


「……そうやって、どんな僕も受け入れてくれる萌ちゃんのこと、好きだよ」


穏やかな声が、コーヒーのほろ苦い香りに乗って耳に届いた。

再び告白してくれたけれど、それは以前のように情熱的なものではない。きっと、彼は私の気持ちをわかった上で伝えているのだ。

そのまっすぐな想いに、今日こそ私もきちんと応えなければいけない。

膝の上に置いた両手をぐっと握り、重い口を開く。

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