彼の瞳に独占されています
「……ごめんなさい、永瀬さん」


一度唇を噛むと、笑みが消えている彼をまっすぐ見つめ、息を吸い込む。


「私、永瀬さんの気持ちに応えられません。本当に、ごめんなさい……!」


思い切って言うと、テーブルに前髪がつきそうなくらい頭を下げた。


「好きな人がいるんです……ずっと前から。もう割り切れたと思ってたのに、自分を騙してただけだったんです。ようやく気づきました……」


手元に目線を落としたまま、正直な気持ちを告げる。目を見れない私はやっぱり意気地なしだ、と情けなくなりながら。

しかし。


「それって、もしかして警備員の彼?」


予想外の返答でギョッとした私は、椅子の背もたれにのけ反るほどのリアクションをする。


「なっ、なななんでわかるんですか!?」

「やっぱりそうか」


私の反応を見て、クスクスと笑う永瀬さん……なんでわかったんだろう。恥ずかしくて顔が火照りだす。

彼はコーヒーカップに口をつけ、カチャリとそれを置くと、落ち着いた様子で話し出した。


「最初は、単純に同級生だから仲が良いんだと思ってた。でもこの間、酔っ払いの客が地下にやってきたとき、彼を見てる君の表情からなんかピンときて」


あの時にもう気づいていたの? 私、どんな顔であいつを見ていたんだろう……。

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