隣に住むのは『ピー…』な上司
翌日のオフィスは、大口契約が決まった話題で持ちきりになっていた。
私が定時で上がった後、課長からの連絡が入ったんだそうです。


「年間の売上げが高くなりそうだって。課長のことを気に入ったスーパー側からヘッドハンティングのお誘いもあるんじゃないかって噂よ」

「ヘッドハンティング!?課長が!?」

「うん、まぁ噂だけどね」


真由香はそう言ってウインクする。

なんだかとっても喜んでいる。

何を考えているのかわからないと言っていた筈なのに、この変わりようは一体何。



(それにしてもヘッドハンティングの噂まで立つなんて……)


課長という人がますます分からなくなる。

一体どれがホントの課長なんだろう。

小鳥と話す課長はウラなのか表なのか。

どちらだとしても謎なことには変わりない。



午前中は騒つく中で仕事をした。
大口契約の立役者に会いに来た女子社員たちは、課長がまだ戻らないと聞かされ、残念そうに去っていく。


仕事そっちのけで来るのはどうなんだろうと思う。
ちょっとトイレへ…と、嘘でもついて来ているのか。


(カンタンに嘘をつける人って羨ましい)


つけない私はいつもだんまりか言葉足らずで終わってしまう。

だから誰とでも気軽に話したりもできないし、言いたい言葉の半分も言えずに消化不良ばかりが起きる。

ペラペラと話せる人が羨ましい。

それがどんなに難しいことか、私は身を持って知っているーー。


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