隣に住むのは『ピー…』な上司
(契約の話をする時の課長って、どんな顔しているんだろう)


自分に似た雰囲気を持つ人は、オフィスで見せているのとはまた別の顔を見せているのか。
嘘も平気で吐いて、大きなことを言ったりもするのか。



(そんな課長見たくないな)


想像するだけで寒くなる。
あの優しい声で小鳥を呼ぶ課長にだけは嘘を吐かないでいて欲しい。



(直接お祝いを言いたいな……)


ケイタイの中には課長の番号が登録されている。

他には漏らしたくなさそうだったから登録した後、メモはビリビリに引き裂いた。


今夜電話してもいいだろうか。

小鳥が元気になったのを口実に課長と話がしてみたい。




(やだ。私……)


気づけば課長のことばかり考えている。

小鳥を預かりだしてから思うことと言えばそれだけのような気がしてくる。



(集中、集中)


パソコン画面に向かう。
でも、やっぱり上の空になってしまう。



課長に会いたい。

声が聞いてみたい。

笑って欲しい。

小鳥を呼ぶ時のような優しい雰囲気でそっと隣にいて欲しい。


近づかれたら怖い筈なのに、近づいてみたいと思い始めている。

近づいてはいけないんだと思うのに、もっと近づいてみたくなる。


課長はただ私が隣に住んでいるから利用しただけだ。

ピーチを預ける場所は他にあるんだと言っていた。

何処かは言わなかったけれど、あの風貌から考えて、女性の家であることは間違いない。


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