ミラージュ
「っていうかさぁ、良平あたしの勉強に付き合っちょっていいそ?」
「ん?」
「良平も勉強したいんじゃないん?いくら良平でも、南狙いなら少しの時間も惜しいんじゃ…」
「大丈夫、俺ジタバタせんにゃいけん程成績悪くないし。引き受けたからにはちゃーんとナツの成績も上げちゃげるわ」
ほら、この問題解いて。しぶしぶシャーペンを持ち、数字とにらめっこを始める。
…正直、嫌なふりをしながらも本当は嬉しくて仕方なかった。
部活も終わってしまったし、放課後無条件で一緒にいれた時間はもうないわけで。
だから大嫌いな数学も、良平といれるなら何時間でもやれる気だった。
問題を解きながら、たまに良平を盗み見るのも楽しかったし。
その度にあたしは、胸を高鳴らせていた。
そして、思った。
多分これが、最後のチャンスだと。
本格的に受験が始まってしまったら、きっと今以上に一緒にいれる時間は少なくなる。
ましてやあたしと良平。同じ高校に行ける可能性なんて万に1つ、いや億に1つだってないだろう。
だからこれが、最後のチャンス。
良平に気持ちを伝える、最後の。