ミラージュ
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夏は容赦なくあたし達を突き刺していた。冷房も何もない夕方の教室はあたし達の感覚を鈍らせる。
「あと何日け?」
「…何が」
「テストまで」
「…4日?や…5日。多分、その間くらい」
良平の言う意味はいまいちわからなかったが、それもわからない程頭は冴えない。
誤解のない様に言っておくが、あたしは本当に勉強を頑張った。テスト週間より前から勉強を始めたのだって初めてだったし、テスト範囲全部を一通り勉強したのも初めてだ。
それに何より良平の教えかたがいいから(不純な動機が理由でもあるけど)、あたしは手応えを感じていた。うん、全教科50点はいけるな。
というわけで、ほんとは追い込みをするべきの残り数日は、勉強なんて口実でこうやって教室でだらだらとすることになった。
あたしはそれが、一番のご褒美に感じた。