ミラージュ
「ふ…うぇ~…」
「え…おい、ナツ!?」
突然泣き出したあたしに、良平は驚いて駆け寄ってきた。
顔上げれない。
今あたし、史上最強に不細工だ。
「どうしたんよ、いきなり」
「りょ、良平ぇ…」
もっとイイコになりたかった。
良平が好きでも良平の恋を応援できるような、良平の好きな女の子をあたしも心から好きになれるような、そんな、イイコになりたかった。
でも無理なの。
あたしそこまでイイコになれない。
あたしのものにならなくてもいいから、他の誰のものにもならないでよ。
「あ…、アイ…」
「へ?」
「アイス、溶け、溶けて…」
良平はあたしの握りしめていた袋を取り上げた。
あたしの選んだソフトクリームは、夏の暑さに完璧に溶けきっている。
「おま…これで泣いてんの?」
「う、うぇ~…」
「ったく…何事かと思うじゃろ!?」