さよならはまたあとで
『これより、花火を打ち上げます』
アナウンスが響き渡り、私たちは空を見上げた。
私たちの学校の花火は、一般客も近くまで見に来るほど立派である。
小さな祭りの花火なんかよりはずっと綺麗で、華やかだ。
ちょん
何かが私の手に触れた。
私が自分の手に視線を落とすと、私の手はあっという間に律太の大きな手に包まれてしまった。
そっと手を握られる。
なんだろう、心臓がどきどきする。
パァァァァァン パラパラパラ
大きな花火が藍色の空いっぱいに広がった。
ちらりと律太を盗み見ると、彼の瞳にもきらきらと花火が黒目いっぱいに映っていた。
色とりどりの光が、白い彼の頬を染めては消えていく。
私は再び空を見上げた。
自然と律太の手を握る手に力がこもった。
律太も、そんな私に答えるように手に力を込める。
まだ私のこの恋心は誰へのものなのか、断言することはできないけれど、どうかこんな日がいつまでも続きますようにと、私は輝く空に願いを込めた。