さよならはまたあとで
「俺のこと、律太って呼んでよ」
彼は笑っていた。
あぁ、また誰かを思い出しそうになる。
この笑顔、声、立ち姿…
そうだ、燈太だ。
律太はどこか、燈太に似ている。
だからこんなにも懐かしかったんだ。
「私は、芹崎君と仲良くなるつもりはないの。
いや、なっちゃいけないの。
私は一人が好き。
一人で音楽を聴きながら本を読んでいるのが好きなの。
今日はありがとう。
でも、これ以上はもう…関わらないで」
私の口から溢れた言葉は、まるで天邪鬼だった。
思っていることと、言葉になることがどんどんすり替わっていく。
また自分に嘘をついた。
正直に、素直になれない自分に涙がでる。
律太に見えないように、私は後ろを向いた。