それを愛だというのなら


「他人の口から聞かされるのは嫌だから、俺から言いたいんだけど」

「えっ? なに? なんのこと?」

「ちょっと重い話なんだけど、聞いてもらっていいかな」


急に声のトーンが下がった健斗。

一体何を言われるのかと、身構えながらもうなずいた。

すると、彼は小さく息を吐いてから、話を始める。


「中学の時の話なんだけど」


もしかして、進学校を辞めてしまった原因の話だろうか。

手に持ったままだったたこ焼きの爪楊枝を置き、話に集中する。


「中学の同じクラスに、元カノがいたんだ。二年から付き合ってた」


元カノ。

その言葉を聞き、胸の奥がちくりと痛む。


「もともと幼なじみで、隣にいるのが当たり前の女の子だった。すごく好きで、彼女のためならなんだってできると思ってた」

「うん……」

「でも」


自分のつま先を見ているようだった健斗の視線が、今は花火が上がっていない星空に向けられる。


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