それを愛だというのなら
「お星さまになっちゃったんだ」
「え……」
「急に。心臓の病気で」
心臓の病気で……そんな。
「もともと体は強くなかったんだけど、無理しなきゃ普通にお婆さんになるまで生きられるだろうって言われてた。なのに、突然病状が悪化して、逝ってしまった」
無理しなければ、お婆さんになるまで生きられる。
それじゃ、元カノさんは、病気の種類は違うけど私と同じような立場で……。
「俺は、将来は絶対医者になるって決めてたんだ。ちょうど親も医者だし、彼女の持病を、絶対に自分が治すんだって思ってた」
お医者さんに……。
だからエスカレーター式の三条学園で一生懸命勉強していた。
数学が神みたいに得意だったのは、そのおかげだったんだ。
「だけど、彼女は死んでしまった」
健斗は言っていた。
『三条にいる意味を見失った』と。
元カノさんが亡くなってしまって、お医者さんになるという目標を失ってしまった。そういうことだったんだ。