それを愛だというのなら


翌週。帰ってきた期末テストを見て絶句した。

なんと、今まで最高でも七〇点くらい、平均で六十五点くらいしか取れなかった数学のテストが、八十五点だったから。

絶句した後、踊り狂いたい気分だったけど、さすがにそれはやめておいた。

学校内ではスマホ禁止なので、事前に連絡を取ることができない。

理系クラスまでわざわざ行くのは恥ずかしいし。

そうして私はその後の授業を、待ち遠しい気持ち……ハッキリ言おう。うわの空で終えてしまった。

お昼を一緒に屋上で食べたときに、帰りは途中まで一緒に帰ろうと約束していたので、言われた通りに学校の裏側へ自転車を引いて行く。

校舎がある表門とは違い、裏はとても道が狭く、ほとんど人通りがない。

プールの周りの高いフェンスをぼんやりと見上げていると。


「瑞穂」


後ろから私を呼ぶ声がして、振り向く。


「健斗」


彼はバイクの代わりに、自転車を持っていた。


「バイクは?」

「やめた。実は学校にバレた」

「うえっ」


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