それを愛だというのなら
もしや、ヒトミが学校側に密告したんじゃあ……。
いや、制服でバイクに乗ってたなら、どこの誰が通報したかわからないけど。
「そんな青い顔するなよ。別に、停学にも退学にもなってないから」
よく話を聞くと、『バイク通学をしている噂があるけど本当か』と教師に聞かれたので、『そんなことはしていません』と健斗は答えたらしい。
証拠を押さえられたりすると面倒臭いことになりそうなので、自らバイクは自粛することに決めたんだって。
「そう言えば、テストどうだった?」
「あっ、そうなの。すごいの。健斗のおかげでね、数学が八十五点も取れたの」
バッグから数学のテストを出して開いて見せると、健斗は極めて微妙な表情をした。
「……今まで平均何点だったの?」
「えと……六十五くらい」
「そか。じゃあ、頑張ったな。よくやった」
健斗はやっと微笑むと、私の頭をくしゃくしゃとなでる。
もしやこいつ、『八十五は低いだろ』って思ったんじゃあ……。