それを愛だというのなら


夕食と入浴を終え、自室に戻る。

学習机の上に置かれたスマホを見ると、SNSの通知ランプが光っていた。

誰だろうとスマホを持ちあげ、ビックリする。

健斗からだ。彼の方から連絡が来るなんて初めてじゃない?

メッセージ画面には、『次の次の日曜、暇?』と短い言葉が。

スタンプも何もついていない。
次の次の日曜、か。

『暇だよ』とベッドに座りながら返事をし、無意味に可愛く踊るウサギのスタンプを送ったけど、なかなか既読がつかない。

いったい、何の用なんだろう。

返事の来ないスマホを見つめるのをやめ、ふと顔を上げると。


「うを!」


ビックリして、変な声が出てしまった。

だって、壁紙に黒い影がべったりくっついていると思ったら、なんの前触れもなく死神くんがそこに立っていたんだもの。


「どうして?」


今までは、夢の中でしか会えなかったのに。

何度目をこすっても、景色は何年も過ごしてきた自分の部屋に変わりない。

これは現実だという証拠に、どんなものにもちゃんと色がついている。


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