きらきらふわり
赤いママチャリに跨がり、一度も振り返らずに行ってしまった後ろ姿を茫然と見つめて。

ああそうだ、と思い出した。

今のは久能木先輩だ。

私が中一の時、同じ中学で三年生だった久能木知光(クノキ トモミ)先輩。


なんだ……

一目惚れじゃなかった。


ただ単に、無意識のうちに初恋の思い出に引きずられただけ。


あの日以来封印してたからか、先輩が当時と大分変わっていたからか、全然気付かなかった。

最後の最後で当時と全く同じダサいママチャリに乗ってたから、急に思い出せた。


会いたいなんて思ってなかったのに。

大分変わったんだけど、変わらずきらきらしてた。

変わらずドキドキした。


それが堪らなく悔しい。



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