さよなら、もう一人のわたし
「繰り返しになるが、これからのことを説明しておく」

 彼から一通り説明を聞く。その話によれば撮影をするのは来年わたしが高校を卒業してから始めるとのことだった。大学への進学はどちらでもいいと言ってくれた。

 今すぐとならなかったのは、彼らの事情もあると思うが、わたしの高校がいろいろ厳しく、アルバイトも禁止されているというのもあったのかもしれない。

「他に質問は?」
「撮影とは直接関係ありませんが、いいですか?」
「何だい?」
「母と知り合いですか? 何か話でもしたんですか?」
「君の母親、ね」

 彼は苦笑いを浮かべる。

「何ですか?」
「いや。なんでもない」

 結局、彼はわたしの質問にはっきりとは答えてくれず、部屋を後にすることになった。
 外に出ると千春が待っていてくれた。
 彼女はわたしと目が合うと、手を振る。
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