さよなら、もう一人のわたし
「そんなことはないよ。家でのんびりしているほうが好きかな」
「尚志さんの趣味って何ですか?」
「俺には敬語使わなくていいよ。あまり年上面する気もないし。本読んだり、空を見てぼーっとしたりとかそんなところだからね。たいした趣味じゃない」
「わたしも本を読むのは好きです」

 彼との共通点を見つけ、弾む気持ちでそう告げた。

「どんな本?」
「少し昔の本が好きです」

 どうしても図書館で借りることが多いからか、一昔前の本を読むことが多かった。

「うちには腐るほど本があるから、ほしい本があったら貸すよ。といっても新しい本は千春が買ってきたものばかりだから君の趣味に合うかは分からないけど。図書館と違って返却期限がないのは便利だと思うよ」

「ありがとうございます」

 わたしは頭を下げた。

「君はこういうところ好きなの?」

 尚志さんは辺りを見渡す。

「あまり行ったことないから楽しいかも。ここに来たのも始めてだから」
「そっか」
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