さよなら、もう一人のわたし
 翌朝、わたしは千春に連絡をして、彼女たちの家に行くと告げた。千春も兄から聞いていたのだろう。いつでもいいとわたしに言ってくれた。
 千春の家の玄関のチャイムを鳴らすと、尚志さんが顔を覗かせた。

「さっき千春が出かけたけど会わなかった?」
「すれ違いになったのかな。出直しましょうか」
「いいよ。そのうち帰ってくるだろうし。上がる?」

 わたしは頷いた。
 わたしが通されたのはリビングで、相変わらずものすごい量のビデオテープやらDVDが並んでいた。

「相変わらずすごいですね」
「変わり者の一家だからね。この中には母親の出ている映像も、たくさんあるよ。母親を撮るためにカメラを買ったような人だから」

 尚志さんはそういうと笑っていた。
 どんな家族だったのだろう。
 わたしにはよくわからなかった。

「だから、写真もこの家で一番多いのは母さんの写真なんだよね。母さんは困っていたけど」

 写真という言葉で、この家に来た時の一件を思い出した。
 本当はもっと早く謝らなければいけなかったのに、なあなあになってしまっていた。
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